遺言書は書き直すことができます。
遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言であっても何度でも書き直すことができます。
(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
民法で上記のように規定されていますので、遺言書は何度でも書き直すことができます。このことを心配される方が結構いらっしゃいますので、初めに書かせていただきました。ただし、紛争を避けるためにも古い自筆証書遺言書は破棄しておきましょう。公正証書遺言は、新たに公正証書遺言を作成した方が間違いありません。(公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回する場合に万が一書式不備等があると撤回自体も無効となってしまいます。)
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、文字通り”自筆”で記載する遺言書です。民法上の条文では下記となります。
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
自筆証書遺言は、
〇遺言者が全文自書(自分で書く)する必要があります。
〇日付を書く必要があります。(もちろん自書)
(〇年〇月〇にとしっかり日付まで記載してください。吉日等は無効となります。)
〇氏名を書く必要があります。(もちろん自書)
〇押印をする必要があります。(できるだけ実印がよいでしょう。)
財産目録を添付する場合には、
〇自書でなくても可能です。(以前は自書でしたが変更となりました。)
(つまりは、パソコン等で作成し印刷したものでも大丈夫です。)
〇財産目録のページ毎に署名及び押印が必要です。
(財産目録が複数ページの場合は、すべてのページに署名及び押印が必要です。)
以上をしっかり守って記載することが必要です。3項に訂正等の記載がありますが、間違ったような場合には、できるだけ初めから書き直すようにしましょう。
遺言書は封筒に入れないといけないのか?
遺言書は封筒に入れるもの。そういうイメージがありますが、特に封筒に入れなければいけないと民法には記載されていません。
ただし、無用なトラブルをさけるためにも自筆証書遺言であっても封筒に入れておいた方が良いと思います。また、家庭裁判所に検認が必要という趣旨からも封筒に入れてある想定がされているものとも思います。
(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言のメリットは何といっても気軽に手軽に家で自分で書けるという事かと思います。手元に置いておく分には、書き直しもすぐにできて便利です。
また、費用もかかりません。
ただし、法務局保管制度を使用する場合には、保管費用がかかります。
自筆証書遺言のデメリット
自筆証書遺言のデメリットは、紛失や改ざんの恐れがあることや書式が法定通りでない場合に無効となってしまうことでしょう。(できるだけ専門家に相談した方がリスクをさげられます。)
また、法務局以外で保管するような場合には、実際に相続が発生した場合に家庭裁判所にて”検認”をする必要があり相続人に多少の負担を与えてしまう事でしょう。
自筆証書遺言サンプル
まとめ
いかがでしょうか?自筆証書遺言について主だった内容を書いてみました。
”遺言なんて縁起がわるい”と言われる気持ちも個人的には大変理解できますが、残されたご家族等のために準備しておく、少しでも負担を軽くしておくということは大変重要だと思います。
私自身、親が亡くなった際に遺言書がなく、少しでも親の気持ちや財産がどこにあるのか等が分かったら大分自分の気持ちや手続的にも楽だったなと思いましたので、遺言書の大切さは引き続き色々なところでお伝えしていきたいと考えています。
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