相続人の一人に行方不明者がいる場合どうしたらよいでしょうか?
このようなご質問をいただくことがあります。
相続人の1人が行方不明であってもその人を除外して相続を進める事はできません。金融機関等においても遺言書が無い場合などにはその人の戸籍や押印を求められることになると思います。
まずは、相続人を探すことから始めましょう。
まずは、行方不明の相続人を探すことから始める必要があります。
どのように探すかですが、ご自身で探すか行政書士や士業に依頼する、探偵に依頼するというような事が考えられます。
士業への依頼は委任をする前提で行方不明者の戸籍や住民票を取り寄せて探していくこととなります。ただ、これはご自身で探す場合でも同様かと思います。その他には最終居住地の近辺で聞き込みをする等の必要もあるかもしれませんが、まずは戸籍、住民票、戸籍の附票の交付請求をしましょう。
専門家じゃないと戸籍等の交付請求はできないの?
基本的には、戸籍は、
・戸籍に載っている人
・配偶者
・直系尊属、卑属
が交付の請求をすることができます。(戸籍法10条)
住民票や戸籍の附票もほぼおなじです。(住民基本台帳法12条、20条)
親が被相続人で複数の子どもが相続人の場合兄弟姉妹は交付請求ができないの?
このような状況は多く考えられるかと思います。
相続人の兄弟姉妹4人のうち、1人が行方不明となっていた場合でその行方不明者は以前結構して親の戸籍から離れているような場合、通常ですと他の兄弟姉妹はその行方不明者の戸籍等を請求することはできません。(上記)
しかし、だからといって諦めるのはまだはやいです。
”自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由”を明らかにすれば交付請求をすることができます。(戸籍法10条の2)
各地方自治体によって対応は違うと思いますので、この辺りをしっかり説明して必要書類を提出し理由を明らかにすれば、兄弟姉妹でも交付請求をすることが可能です。
それでも行方不明者が見つからないような場合
それでも行方不明者が見つからないような場合は、下記対応を検討してみてください。
①捜索届の提出
②不在者財産管理人選任の申し出 (帰来時弁済型遺産分割協議)
③失踪宣告
①捜索届の提出
ある警察の方は、このご提案をされていましたが、事件性がないものは受理してくれたとしてもどこまで対応してくれるのかは不明です。
②不在者財産管理人選任の申し出 (帰来時弁済型遺産分割協議)
家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。
くわしくは、こちら の裁判所のサイトをご確認ください。
不在者財産管理人は,不在者の財産を管理,保存するほか,家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,不在者に代わって,遺産分割,不動産の売却等を行うことができます。
ただ、不在者が現れたとき,不在者について失踪宣告がされたとき,不在者が死亡したことが確認されたとき,不在者の財産がなくなったとき等まで,財産管理人の職務は続くことになります。
そのため、場合によっては、不在者の財産をゼロとして遺産分割を行う帰来時弁済型の遺産分割を行う事ができることがあります。これは不在者の取得分を他の相続人が不在者が実際に現れたときに不在者分を支払う約束をした上で不在者取得分を取得するものです。これにより不在者財産がゼロになるので、不在者財産管理人はこの任を解かれ完了することができます。
ただし、不在者の取得分が高額となり当初取得相続人が不在者帰来時に支払いが困難となることがような場合は、認められない事があるようです。
③失踪宣告
失踪してしまった人を、法的に死亡した事とみなす制度となります。船が沈没した等の特別失踪でないような普通失踪の場合には、7年以上失踪している場合には、失踪宣告を家庭裁判所に申し立てることができます。
まとめ
いかがでしょうか?今日は、相続人に行方不明者がいるような場合についてどうすべきかをお伝えいたしました。遺産分割はいつでもできますが、万一相続税の申告が必要な場合には早期対応が必要となることも考えられますので、悩まずに専門家や行政に相談してみましょう。
遺言・相続に関するご相談は
千葉県市川市のほりかわ行政書士事務所
お気軽にお問合せください。
TEL: 047-707-2824