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法定相続情報一覧図とは
法定相続情報一覧図は、戸籍の情報を法務局の登記官が確認してくれて、法定相続人を分かりやすい1枚で表示し認証してくれるものです。
相続が発生した場合で、複数の金融機関への手続きや不動産の名義変更の手続きをするにあたってその各担当者が一から戸籍を読み込んで相続人を確認する時間や間違いの可能性を少なくできるものと思います。
戸籍もコピーして確認してくれると思いますが、金融機関によっては何時間も待たされたり場合によっては別日に再度訪問しなければいけない可能性もあるように思います。また、原則返却してもらえると思えるので、場合によってはですが、複数交付してもらえるので、金融機関等をはしごしやすくなると思います。
制度設立の背景
・不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合,所有権の移転の登記(相続登記)が必要
・近時,相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加し,これがいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっていると指摘
・法務省において,相続登記を促進するために,法定相続情報証明制度を新設
(法務局ホームページより)
制度の概要
相続人が登記所に対し,以下の書類をはじめとする必要書類を提出
1.被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等
2.上記1.の記載に基づく法定相続情報一覧図(被相続人の氏名,最後の住所,最後の本籍,生年月日及び死亡年月日並びに相続人の氏名,住所,生年月日及び続柄の情報)登記官が上記の内容を確認し,認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付
(法務局ホームページより)
制度のねらい
・本制度により交付された法定相続情報一覧図の写しが,相続登記の申請手続をはじめ,被相続人名義の預金の払戻し等,様々な相続手続に利用されることで,相続手続に係る相続人・手続の担当部署双方の負担が軽減
・本制度を利用する相続人に,相続登記のメリットや放置することのデメリットを登記官が説明することなどを通じ,相続登記の必要性について意識を向上
(法務局ホームページより)
手続きの仕方
手続きの流れとしては、下記になります。
- ①被相続人や相続人等の戸籍を集めます。(被相続人の住民票除票も必要。相続人の住所も記載したい場合には相続人の住民票も必要。)
- ②法定相続情報一覧図の元となる図を作成します。
- こちらの図がそのまま法定相続情報一覧図として使用されます。
- ③所定の申出書に必要事項を記載します。
- ④書類を法務局へ持参or郵送します。
- ・申出書、・法定相続情報一覧図、・必要戸籍、・申出人確認書類等
- ⑤法務局の担当登記官により確認され、問題なければ保管され写しが交付されます。
- *申し出から交付まで法務局によりますが、10日程度かかります。
*手数料はかかりません。
*戸籍は返却されます。(住民票等はコピーをとり原本と相違ない旨及び記名することで返却されます。)
- ⑥相続手続きに使用することができます。
- ・不動産相続登記、・預貯金名義変更等
申出人となれる人
・相続人又は当該相続人の地位を相続により承継した者
代理人となれる人
・申出人の法定代理人
・申出人の委任による申出人の親族
・申出人の委任による、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、
海事代理士又は行政書士
注意点
〇戸籍の収集について
①戸籍収集の考え方
*戸籍収集は、相続順位順に考えていく必要があります。
【被相続人】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要となります。(抜け漏れなく)
【相続人】
・法定相続情報一覧図に住所を記載する場合、住民票が必要となります。
・配偶者=必ず相続人となるので、現在の戸籍が必要となります。
・子ども=第1順位となるので、現在の戸籍が必要となります。
配偶者が亡くなっている場合、亡くなっているその方の出生から死亡までの戸籍が必要となります。
・両親=第2順位となるので、子ども直系卑属(孫)がいない場合、現在の戸籍が必要となります。
配偶者、子ども直系卑属(孫)が亡くなっている場合、亡くなっているその方々の出生から死亡までの戸籍が必要となります。
・兄弟姉妹=第3順位となるので、子ども・両親他直系尊属卑属がいない場合、現在の戸籍が必要となります。
配偶者、子ども・両親他直系尊属卑属が亡くなっている場合、亡くなっているその方々の出生から死亡までの戸籍が必要となります。
(例、3兄妹の1人が被相続人で2兄妹が相続人(兄=生存、妹=死亡)のようなばあい、兄=現在の戸籍、妹=出生から死亡までの戸籍が必要となります。)
書いててもだんだんわからなくなってきますね💦
要は相続人なのに亡くなっている方に代襲相続する方がいないか等を確認するために、相続人でも亡くなっていれば、出生から死亡までの戸籍が必要となるということです。(生存されていれば、その方が相続人となり代襲相続が発生しないため、現在の戸籍だけで大丈夫ということです。)
②お役所への戸籍収集の依頼
*窓口で戸籍を請求する場合、身分証明書と所定書面を記載して、手数料を現金等で支払うことで、原則、当日戸籍をいただくことが可能です。
*郵送で戸籍を請求する場合、遠隔地等の場合、郵送で戸籍を請求することが可能です。必要市区町村のホームページ等で戸籍での請求方法を確認してください。
基本的には、請求申請書、請求者の身分証明書等コピー、手数料(定額小為替)で請求することが可能かと思います。(定額小為替については、1通ごとに200円の手数料がかかりますので、手数料額が決まってから定額小為替だけを後送する方法が良いかと思います。金額が大きい場合、”普通為替”で支払う事ができないか?を確認しておきましょう。”普通為替”は、必要金額分を1通発行していただくことが可能で手数料も1通550円となり、定額小為替をたくさん発行するより手数料負担を減らすことが可能です。)(手数料金額は2023年3月現在の金額です。)
〇法定相続情報一覧図の小ネタ
①法定相続情報一覧図は戸籍
法定相続情報一覧図は、戸籍を映したものです。そして、被相続人が死亡したときの相続人を確認するものです。戸籍どおりに記載が必要です。
例えば、被相続人の戸籍の死亡日にまれに”推定”と記載されている場合がありますが、その場合には、死亡日の部分には、”推定令和〇年〇月〇日”と推定もいれて記載する必要があります。
②法定相続情報一覧図には相続放棄人も記載
相続人で相続放棄した人がいた場合も、記載が必要です。(相続放棄証明書ではないからです。)
③法定相続情報一覧図には亡くなった相続人の氏名は記載しない
例えば、3人兄弟の子どもだけが相続人の場合で、長男が亡くなっている場合および長男に代襲者がいないような場合には、長男の戸籍は必要ですが、長男は記載しません。あたかも2人兄弟のように見えるような図になります。(家系図ではないからです。)
根拠法令
法定相続情報一覧図の根拠法令は、”不動産登記規則”になります。
第六章 法定相続情報
(法定相続情報一覧図)
第二百四十七条 表題部所有者、登記名義人又はその他の者について相続が開始した場合において、当該相続に起因する登記その他の手続のために必要があるときは、その相続人(第三項第二号に掲げる書面の記載により確認することができる者に限る。以下本条において同じ。)又は当該相続人の地位を相続により承継した者は、被相続人の本籍地若しくは最後の住所地、申出人の住所地又は被相続人を表題部所有者若しくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対し、法定相続情報(次の各号に掲げる情報をいう。以下同じ。)を記載した書面(以下「法定相続情報一覧図」という。)の保管及び法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をすることができる。
一 被相続人の氏名、生年月日、最後の住所及び死亡の年月日
二 相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日及び被相続人との続柄
2 前項の申出は、次に掲げる事項を内容とする申出書を登記所に提供してしなければならない。
一 申出人の氏名、住所、連絡先及び被相続人との続柄
二 代理人(申出人の法定代理人又はその委任による代理人にあってはその親族若しくは戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第十条の二第三項に掲げる者に限る。以下本条において同じ。)によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称、住所及び連絡先並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
三 利用目的
四 交付を求める通数
五 被相続人を表題部所有者又は所有権の登記名義人とする不動産があるときは、不動産所在事項又は不動産番号
六 申出の年月日
七 送付の方法により法定相続情報一覧図の写しの交付及び第六項の規定による書面の返却を求めるときは、その旨
3 前項の申出書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
一 法定相続情報一覧図(第一項各号に掲げる情報及び作成の年月日を記載し、申出人が記名するとともに、その作成をした申出人又はその代理人が記名したものに限る。)
二 被相続人(代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書
三 被相続人の最後の住所を証する書面
四 第一項第二号の相続人の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書
五 申出人が相続人の地位を相続により承継した者であるときは、これを証する書面
六 申出書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該申出人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)
七 代理人によって第一項の申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面
4 前項第一号の法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載したときは、第二項の申出書には、その住所を証する書面を添付しなければならない。
5 登記官は、第三項第二号から第四号までに掲げる書面によって法定相続情報の内容を確認し、かつ、その内容と法定相続情報一覧図に記載された法定相続情報の内容とが合致していることを確認したときは、法定相続情報一覧図の写しを交付するものとする。この場合には、申出に係る登記所に保管された法定相続情報一覧図の写しである旨の認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押印するものとする。
6 登記官は、法定相続情報一覧図の写しを交付するときは、第三項第二号から第五号まで及び第四項に規定する書面を返却するものとする。
7 前各項の規定(第三項第一号から第五号まで及び第四項を除く。)は、第一項の申出をした者がその申出に係る登記所の登記官に対し法定相続情報一覧図の写しの再交付の申出をする場合について準用する。
(法定相続情報一覧図の写しの送付の方法等)
第二百四十八条 法定相続情報一覧図の写しの交付及び前条第六項の規定による書面の返却は、申出人の申出により、送付の方法によりすることができる。
2 前項の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを提出する方法により納付しなければならない。
3 前項の指定は、告示してしなければならない。