遺言執行者とは？

遺言執行とは？

遺言執行とは、その言葉の通り遺言書の内容を執行することであり、遺言執行者とは、相続が遺言書どおりに実行されるように必要な手続きを行う人の事をさします。

遺言執行者に指定されると相続人の調査や相続財産の調査などを業務として行うことができます。

そもそも遺言執行者はなぜ必要なのか？

遺言書は故人の意思の一部に法的効果をもたらすことができ非常に有効であると考えられますが、万が一その遺言書通りに従ってくれない相続人がいると相続手続きが停止してしまうことが考えられます。そのような事態によって相続人同士の関係性が悪化してしまうようなことも懸念されます。

このような事態を引き起こさないためにも遺言執行者を指定しておくことは有用であると考えられます。

遺言執行者を指定するメリット

上記に書いたようなメリットの他に、遺言執行者を指定した場合、相続人の代表的立場となりますので、指定された人が行政書士等の専門家であれば特に、

〇期限に間に合うよう手続きを進めてくれる

〇戸籍謄本等の収集や遺産分配等も行ってくれるので相続人が手続きに時間を費やす負担を軽減することができる

〇他の相続人が独断で遺産処分をすることが行いにくくなるので遺産保全にも貢献します

このようなメリットがあると考えられます。

遺言執行者を指定するデメリット

遺言執行者に指定された人が専門家で無いような場合には、

〇何をやればよいのか分からずに指定された人の負担と責任だけが増えてしまう。

〇期限に手続きが間に合わない

ような懸念があります。

遺言執行者の指定方法

（遺言執行者の指定）

第千六条　遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

２　遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。

３　遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

遺言執行者は、遺言者により遺言で指定することができます。（または、第三者にその指定を委託することができます。）

遺言執行者になれない人

（遺言執行者の欠格事由）

第千九条　未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

未成年者、破産者は遺言執行者になる事ができません。つまり、相続人はこれらでなければ遺言執行者になることができます。ただし、上述したように専門家を遺言執行者に指定した方が良いと思われます。

遺言執行者の任務・業務内容

遺言執行者の任務や業務内容は下記となります。

〇その就任を承諾した後は、直ちにその任務を行わなければならない。

〇遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

〇相続財産の調査を行う事ができる。

〇相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

〇相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

〇遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

〇遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

〇特定財産承継遺言があったときは、遺言執行者は、債権を法定相続分を超えて相続人がそれを取得するような場合の対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。

〇預貯金債権の払い戻し、解約申入れの請求ができる。

〇自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。（復任）

〇正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

まとめ

今回は遺言執行者について書いてみました。

未成年者や破産者以外であれば相続人でも遺言執行者に指定することができますが、手続きを熟知している行政書士や弁護士等の専門家を指定することで相続人の負担を減らすことができます。