遺言書の作成はどうして必要なのか、(2)相続人の立場として
前回までは、遺言書の作成がどうして必要なのかについて、被相続人の立場から法定効力を含めて書かせていただきました。
今回は、受け取る側である相続人の立場からどうして必要なのか?を考えてみましょう。
相続人がやるべきこと
いざ被相続人が亡くなられた場合に、残された相続人は、何をする必要があるのかをまず考えてみましょう。
①相続人は誰なのか?
②被相続人の財産、債務はあるのか?
③被相続人の財産、債務はどこにあるのか?
④被相続人の気持ちはどうだったのか?(誰に財産をあげたいと思っていたのか?)
⑤相続税はかかるのか?
①と⑤は被相続人がうんぬんというよりも必ず確認しなければいけない必要のものですので、②~④について考えてみましょう。
②被相続人の財産、債務はあるのか?
例えば、ご両親が亡くなったような場合、ご両親の財産や債務を全て把握されていますでしょうか?
仲の良いご家族でも中々こういうことはお話しできていないのではないかと思います。
特に債務(借金)がもしもあるような場合は、ご家族同士でも共有するのははばかれる場合があるように思います。
なので、遺言書を作成しておき、こういう財産または債務があるよとお伝えしておくだけでもかなり相続人の心労や不安が解消されるかと思います。
借金がある場合は、単純承認をしてよいものか限定承認をした方が良いのか、場合によっては相続放棄をした方が良いような場合があるかと思います。
これらの判断自体は、各相続人は、相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内に決断しなければいけません。
③被相続人の財産、債務はどこにあるのか?
こちらも②どうようですが、今後より確認が難しくなる懸念があります。それはネット証券や海外FX、国内FX等を被相続人が行っていた場合、なかなか書面では探すことができなかったりするかもしれません。パソコン内にあったとしてもパソコン自体のパスワードを知らなければパソコン内も確認することができません。
相続人の立場としては、遺言書の財産目録へ証券会社や銀行などの会社名、口座番号等を記載しておくことでかなり負担と心配が減ることと思います。
④被相続人の気持ちはどうだったのか?
被相続人と生前日頃からお気持ちを聞いていればある程度わかることもあるかもしれませんが、往々にしてこのような話は亡くなる事が前提となるため話すこと自体を嫌う方がいらっしゃるかもしれません。また、まだまだ先のことだと後伸ばしにされる場合もあるかもしれません。
そして、一番は、どちらにしても相続人同士の紛争に発展してしまう可能性があることです。長女が同居していてご両親のお気持ちを聞いていたとしても別で暮らしている長男がいるような場合、長女が聞いたことを確実にうのみにしてくれるでしょうか?円満な家族関係であれば、問題ないかもしれませんが、どうしても同居家族の方に有利な内容であることが少なくありませんので、多少の疑心が生まれてしまう事はやむを得ない事です。
しっかりと遺言書に、例えば、居宅は同居していた長女に残す旨を記載されていれば、それぞれの納得感はちがってくるのではないでしょうか?
まとめ
このように相続人の立場からしても亡くなってしまった方の気持ちや財産状況を知れる事は大変ありがたいことだと思います。
被相続人、相続人それぞれの立場から遺言書の作成が必要であることを少しでも共感いただくことができたら幸いです。
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