相続人はだれになるのか?について考えてみました。
相続人というと、どういう人の事を思い浮かびますでしょうか?
お子さん?
配偶者?旦那さん?奥さん?
そうですね。
また、それらに順位はあるのか?ということを今回書いてみたいと思います。
民法から相続人を考えてみます。
民法第5編に相続とあり、その中の第二章で相続人が規定されています。
民法条文の順番は前後してしまいますが、
①配偶者
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
明確に書かれていますね。はい、配偶者は、常に相続人となります。
常に相続人となるとは、どういうことかというと、生存していれば必ず相続人になるということで他にどのような相続人候補(以下記載のような)がいても順位もその相続人と一緒の順位(常に一位)になるということです。
②胎児
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
胎児=子どもですが、子どもの前に胎児という状態に関しての規定になります。
胎児も子どもだから当たり前!おっしゃる通りなんですが、民法上、胎児はまだ私権を持たない存在なので、あえて例外として相続に関しては権利能力がある。という事を規定しています。
第三条 私権の享有は、出生に始まる。
このように規定されているので、それでは”出生”の定義は?という疑問が生まれるかと思います。
刑法上は、一部でも母体から出ていれば出生にあたるという一部露出説を採用しているようですが、民法上は、完全に母体から露出した場合を全部露出説として採用しているようです。
その例外として、相続があります。(他には、不法行為に基づく損害賠償請求(法721条)、遺贈(965条)が同様に例外として胎児に生まれたものとみなして権利能力を与えています。)
③子ども
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
ようやく出てきました。子どもです。被相続人の子どもは相続人になります。
そして、何らかの理由で子供が相続人になれない場合は、その子どものさらに子どもが相続します。(別で書いた直系卑属という言葉がここででてきますね。)これを代襲相続といいます。
ひとまずのまとめ
ここまでは大丈夫でしょうか?
ここまで出てきたのが、配偶者および子ども(胎児含む)ですね。振り返って考えてみると、
〇配偶者=常に相続人となる
〇子ども=相続人となる。
つまり読み替えると、子どもは相続人になります。配偶者も子どもや代襲相続人がいても常に相続人となりそれらの者と同じ順位になるということが分かりました。
④親
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
889条1項第1号を見ていただきたいと思いますが(青線部)、この前提として1項において、子ども、直系卑属(887条)がいない場合には、直系尊属が相続人となることと規定されています。
祖父母と両親がいる場合には、その近い者を先にするとあるので、両親が相続人となります。
⑤兄弟姉妹
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
続いては、兄弟姉妹ですね。④の直系尊属がいない場合には、兄弟姉妹が相続人となると規定されています。そして兄弟姉妹の場合、887条2項の規定を準用するとなっています。
もう一度887条2項を見てみましょう。
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
兄弟姉妹の場合、887条2項を準用するとなっているので、兄弟姉妹が死亡等でいない場合は、子どものときと同様に兄弟姉妹の子ども(おいorめい)が代襲相続します。ただし、その子ども(おいorめい)の子ども(姪孫(てっそん))は被相続人の直系卑属ではないので、おいorめいがいない場合には姪孫(てっそん)は代襲相続しません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
多少なりとも相続人になる人、その順位が分かったのではないでしょうか?
簡単に書くと、
第一順位: 配偶者 & 子ども(直系卑属)
第二順位: 配偶者 & 父母(直系尊属)
第三順位: 配偶者 & 兄弟姉妹
という順位になります。
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